老後の生活を支える公的年金の支給額が2026年度から改定されます。今回の改定では国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%の引き上げとなり、受給者にとっては家計の助けとなる明るいニュースとなりました。物価や現役世代の賃金変動に合わせて調整される日本の年金制度ですが、実際に私たちが将来いくら受け取れるのか、そのリアルな数字を知っておくことは非常に重要です。特に多くの人が目標とする月額15万円というラインについて、現在の受給者の分布や制度の仕組みから、その達成難易度を詳しく検証していきます。
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日本の公的年金を構成する2階建ての仕組み
日本の年金制度は、すべての国民が加入する1階部分の国民年金と、会社員や公務員が上乗せして加入する2階部分の厚生年金で構成されています。
- 国民年金は20歳から60歳までのすべての人が加入し、保険料は一律の定額制です。
- 厚生年金は勤務先を通じて加入し、現役時代の給与額に応じて保険料と将来の受給額が決まります。
- 自営業者の場合は1階部分のみ、会社員の場合は1階と2階の両方を受け取れる仕組みです。
- 2026年度の国民年金保険料は月額1万7920円に設定されています。
- 満額の老齢基礎年金を受給するには、原則として40年間の保険料納付が必要です。
2026年度の年金改定率と実際の支給額

新年度からの増額により、受給者が手にする金額は具体的にどう変化するのでしょうか。国民年金と厚生年金のそれぞれの改定内容と、標準的なモデル世帯での支給額を整理しました。
| 年金の種類 | 改定率 | 2026年度の月額目安 | 主な対象者 |
| 国民年金(老齢基礎年金) | +1.9パーセント | 70,608円(満額) | 全加入者 |
| 厚生年金(標準的夫婦) | +2.0パーセント | 約230,000円 | 会社員・公務員世帯 |
| 厚生年金(単身者平均) | +2.0パーセント | 約148,000円 | 会社員・公務員の個人 |
月額15万円の壁を突破している受給者の割合
老後の消費支出の平均が約15万円であることから、年金だけで生活を完結できる月15万円受給は一つの大きな境界線といえます。厚生労働省のデータによると、厚生年金の受給者のうち、月額15万円以上の年金を受け取っている人は全体の約3割から4割程度にとどまっています。特に女性の場合は現役時代の勤続年数や給与水準の影響を受けやすく、このラインを超える人の割合は男性に比べて低くなる傾向があります。単身で月15万円を確保するためには、現役時代に一定以上の年収で長く厚生年金に加入し続ける必要があります。
年収106万円の壁撤廃がもたらす将来への影響
働き方の多様化に伴い、短時間労働者が厚生年金に加入しやすくなる法改正が進んでいます。これまで社会保険加入の基準となっていた年収106万円の壁が事実上撤廃されることで、パートやアルバイトの人も厚生年金の2階部分を形成できるようになります。
- 社会保険への加入対象が小規模な企業まで段階的に拡大されます。
- 保険料の負担は増えますが、将来受け取れる年金額が確実に底上げされます。
- 障害年金や遺族年金の手厚い保障も受けられるようになります。
- 基礎年金だけでなく厚生年金が加わることで、老後の所得代替率が向上します。
- 働き損を防ぐための政府による支援策もあわせて整備されています。
将来の安定した生活に向けた今からの備え
公的年金が増額されることは好ましい変化ですが、物価上昇のスピードに追いつかない可能性も考慮しなければなりません。月15万円という目標を達成するためには、公的年金だけに頼るのではなく、私的年金や資産運用を組み合わせた自助努力が不可欠な時代になっています。新年度の改定をきっかけに、自分のねんきん定期便を確認し、将来の受給見込み額と必要な生活費のギャップを把握することから始めてみましょう。
免責事項:本記事は2026年3月時点の公的公表資料に基づき作成しています。実際の受給額は個人の加入履歴により異なりますので、詳細は日本年金機構の窓口などでご確認ください。

